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なぜ入浴は身体に良いのか (担当 西垣)
今回のテーマ『なぜ入浴は身体に良いのか』

~入浴の基本~
前回は入浴法の応用ということで、半身浴温冷交代浴の二つを取り上げました。
そこで今回は一度基本に立ち返り、前回内容を補うためにも入浴そのものの効果について考えたいと思います。

お風呂好きの日本人は、ほとんど毎日入浴する習慣があります。入浴は体を清潔にするだけでなく、体を温めて、心身をリラックスさせ、疲れをとるなど、さまざまな効果があります。

しかし、いつも同じようにただ漫然と入浴しているのでは、本来得られるはずの効果を十分得ることはできません。
冬でもシャワーだけで、ゆっくり湯船につかる事はない。
42℃位の熱いお湯につかるのが好きだ。
お風呂あがりは大抵、着替えたら慌ただしく何かをしている。
自宅の脱衣所や浴室に暖房器具はないので、冬はかなり寒い。

上記のうち、当てはまる項目があった人は、入浴の効果をより高めるため、普段行っている入浴方法を一度見直した方がいいかもしれませんね。

疲労回復やリラックスなどのお風呂の効果には、お湯の温度、水圧浮力などが重要な役割を果たしています。更に、効果を上げるためには「入浴時間」、を工夫することがとても大切です。


~温度、水圧、浮力の主な効果~
温熱効果
温かいお湯に浸かる事で体が温かくなり、血管が拡張して血液循環が良くなります。
それにより酸素や栄養分が体の隅々まで運ばれ、体の中の老廃物が汗と一緒に排出され、新陳代謝が高まります。
水圧効果
湯船に入ると全身に水圧がかかりマッサージの効果があります。
細胞の働きが活性化され、毛穴が開き、肌がキレイになります。
また、水圧がかかる事によるダイエット効果も期待できます。
浮力効果
(リラクゼーション効果)
お風呂に入ると浮力が得られ、内臓なども重力から解放されます。
お母さんのお腹の中にいたときの体内感覚に似たもので、リラックスできると同時に、ストレス解消にもつながります。


「お湯の温度」と「入浴時間」~
例えば、入浴のリラックス効果はよく知られていますが、精神的にリラックスするためには「ぬるめのお湯にゆっくり」が鉄則です。

ぬるいお湯にゆっくりつかると、副交感神経が刺激されるので、ゆったりとリラックスできるだけでなく、脈拍も緩やかになり、眠りにつきやすい状態になりま す。逆に「熱いお湯に短時間」では、交感神経が刺激され、興奮を促す脳内ホルモンが分泌されるので、リラックスしにくくなります。

なお入浴のリラックス効果をさらに満喫するためには、お風呂からでた後に30分くらいゆっくりくつろいでいただくことがよいとされ、ある大学の研究結果で は、入浴直後よりもしばらく経ってからの方が、リラックス効果が高いという実験結果も報告されています。こんな事から、普段寝つきの悪い方などはお風呂か ら出て、汗が引くか引かないうちに寝床に入っていただくと、とてもリラックスした状態で深い睡眠に入ることができます。

つまり、お風呂から出てすぐに何かをしてしまうと頭も身体も充分に休まらず、入浴の恩恵が半減してしまうことになってしまいます。

このようにお風呂は入り方次第で、その効果に驚くほど差が出でます。目的や体調に応じて、湯加減や入浴時間、入り方を工夫することが大切になってきます。
ここで例として冬に多い「湯冷め」について、また高血圧や高齢者に多い入浴事故を防ぐためのポイントを紹介します。

湯冷めしたくない人:40℃のお湯に10分以上つかる

寒い外から自宅に帰ったら、まずお風呂に入って冷えきった体を温めたいもの。このとき、熱い湯の方が体は温まりそうに思いますが、実は熱い湯はかえって湯冷めしやすいので注意が必要です。
例えば42℃のような熱いお湯だと、つかる時間も短くなりがちです。そのため、体の表面しか温まらず、お風呂から出た後、体の熱が奪われやすいのです。

また、熱いお湯につかった後は汗をかきやすいので、結果として体を冷やすことにもなってしまいます。

湯冷めしないためには、熱いお湯よりも38~39℃くらいのお湯に10分以上つかるのが、体も芯から温まるのでお勧めです。また、前回取り上げた温冷交代浴も有効です。(その際は、最後は冷水で終わるのがポイントです。)
なお、42℃以上のような熱いお湯での入浴は、血圧の上昇をはじめ、心肺系への負担が大きいことも知られています。したがって、高温での長湯は避けた方が懸命なのです。

高齢者や血圧の高い家族がいる家庭では:浴室や脱衣所を暖めておく

風 呂好きな日本人は、入浴中の事故が多いことでも知られています。家庭内で起こる不測の事故で死亡した人の3人に1人は入浴中、という調査結果もあります。 お風呂は体によい効果があるだけでなく、入り方によっては心臓などに大きな負担をかけますので、高齢者や高血圧の人がいる家庭では特に注意が必要です。

特に冬場は浴室や脱衣場を暖めて、温度差を少なくしておくことが大切です。これは、急激な温度変化にさらされて、脳卒中などを起こすことを防ぐためです。血圧の高い人が寒い場所に出ると、血管が収縮し、血圧が急激に上がってしまいます。

ベストなのは浴室や脱衣室にも暖房施設を付ける事ですが、それが無理ならあらかじめ湯船のふたを開けておくなどして、浴室や脱衣場を暖めておくとよいでしょう。

お風呂の心と体に与える影響を知って、今晩から健康的にお風呂を楽しみましょう。